パソコン作業やスマートフォンの長時間使用で、目の疲れやかすみが気になっていませんか。目薬を差してもすぐにまた疲れてしまう、夕方になると目がしょぼしょぼする――そんな悩みを抱えている方は少なくありません。
漢方の考え方では、目のトラブルは単なる目の問題ではなく、「肝」や「血」のバランスの乱れが関わっているとされています。つまり、目だけをケアするのではなく、体全体のめぐりを整えることで、根本的な体質へのアプローチを目指すのが漢方の特徴です。
この記事では、眼精疲労が気になる方に向けて、漢方の選び方や日常生活で取り入れたい習慣をまとめました。ご自身の体質に合った漢方を見つけるきっかけになれば幸いです。

眼精疲労が気になる方に用いられる漢方の紹介
ここでは、眼精疲労の悩みを持つ方に用いられることが多い漢方をご紹介します。それぞれの特徴や、どのような体質の方に向いているかを解説していきます。なお、漢方の選択は自己判断ではなく、医師や薬剤師に相談のうえで行うことが大切です。
杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)
杞菊地黄丸は、目のかすみや疲れ目が気になる方に広く用いられている漢方です。六味丸をベースに、目の健康に関わるとされるクコの実(枸杞子)と菊花(菊の花)を加えた処方になっています。体力が中等度以下で、疲れやすく、尿量の減少やのぼせ傾向がある方に向いているとされています。
八味地黄丸(はちみじおうがん)
加齢にともなう目のかすみや視力の変化が気になる方に用いられることがあります。漢方では「腎」の働きが衰えると老化に関連する不調が出やすいと考えられており、八味地黄丸は腎を補うことで体全体の活力をサポートする処方です。手足の冷えを感じやすい方に向いているとされています。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
血のめぐりが滞りがちな方の目の疲れに用いられることがあります。特に女性に多い、冷えやむくみを伴うタイプの眼精疲労に対して使われるケースが見られます。貧血傾向があり、体力があまりない方に向いているとされています。
四物湯(しもつとう)
血を補う基本処方として知られています。目の乾きやドライアイ傾向がある方に用いられることがあります。皮膚の乾燥や顔色の悪さが気になる方にも使われるケースがあり、血の不足が目の不調に関わっていると考えられる場合に選択肢となります。
釣藤散(ちょうとうさん)
頭痛をともなう目の疲れが気になる方に用いられます。朝方に頭が重い、血圧が高め、といった特徴がある方に向いているとされています。慢性的な頭痛と眼精疲労が重なっている場合に、医師が処方を検討するケースがあります。
杞菊地黄丸と八味地黄丸はベースが似ていますが、のぼせ・ほてり傾向の方には杞菊地黄丸、手足の冷え傾向の方には八味地黄丸が選ばれやすいとされています。体質に合った処方を見極めるためにも、専門家への相談がおすすめです。
漢方の考え方で見る「目の疲れ」の原因
西洋医学では、眼精疲労は目の筋肉の疲労や涙の分泌不足などが原因として挙げられます。一方で漢方では、目のトラブルを体全体のバランスの問題として捉えるのが特徴です。
「肝」と目の関係
漢方では「肝は目に開く」という考え方があります。ここでいう「肝」は西洋医学の肝臓とは少し異なり、血を蓄え、気のめぐりを調整する役割を持つとされています。ストレスや過労によって「肝」の働きが乱れると、目にも不調が出やすいとされるのです。
「血」の不足と目の乾き
漢方では、目に十分な栄養を届けるためには「血」が充実していることが大切だとされています。「血虚(けっきょ)」と呼ばれる血の不足状態になると、目の乾き・かすみ・視力の変化といった不調が出やすくなると考えられています。
「腎」の衰えと加齢による変化
加齢にともなう目の不調は、「腎」の衰えと関連づけられることがあります。「腎」は生命力の源とされ、その機能が低下すると老化に関連するさまざまな不調が現れるとされています。

漢方と併せて取り入れたい生活習慣
漢方だけに頼るのではなく、日常の生活習慣を見直すことも大切です。目の疲れが気になる方に取り入れていただきたい習慣をご紹介します。
20-20-20ルールを実践する
20分ごとに、20フィート(約6メートル)先を20秒間見つめるという目の休息法です。日本眼科医会でも、定期的に目を休ませることの重要性が紹介されています。パソコン作業が長時間にわたる方は、意識的に取り入れてみてください。
ホットアイマスクで目のまわりを温める
40℃程度の蒸しタオルやホットアイマスクを5〜10分ほどまぶたに当てると、目のまわりの血行がよくなるとされています。就寝前のリラックスタイムに取り入れるのがおすすめです。
ブルーライト対策を行う
パソコンやスマートフォンから発せられるブルーライトは、目の疲れの一因とされています。ブルーライトカットメガネの使用やディスプレイの輝度調整など、できる範囲で対策を行いましょう。
目によいとされる食材を取り入れる
クコの実、菊花、ブルーベリーなどは、目の健康に関わる栄養素を含むとされています。また、ビタミンAを含むにんじんやほうれん草なども、目の粘膜の維持に役立つとされています。食事から無理なく取り入れてみてはいかがでしょうか。
眼精疲労が長期間続く場合や、急激な視力の変化・目の痛み・充血がひどい場合は、まず眼科を受診して原因を確認することが大切です。漢方はあくまで体質に合わせたサポートとして活用してください。
漢方を選ぶときに知っておきたいこと
体質に合った処方を選ぶ
漢方は「同じ症状でも体質によって使う処方が異なる」のが基本的な考え方です。冷えやすいのか、のぼせやすいのか、胃腸が強いのか弱いのか――こうした体質の違いによって、適した処方は変わってきます。
継続して様子を見る
漢方は穏やかに体質に働きかけるものが多いため、一般的には2〜3か月程度の継続が目安とされています。ただし、服用中に体調の変化を感じたら、早めに医師や薬剤師に相談してください。
市販品と医療用の違い
杞菊地黄丸や八味地黄丸は市販の漢方薬としても販売されています。ただし、医療機関で処方される漢方薬と比べて成分量が異なる場合があります。しっかりとした対応を希望される方は、日本東洋医学会のサイトで漢方専門医を探すこともできます。

まとめ
眼精疲労は現代人にとって身近な悩みですが、目薬だけでは根本的な解決になりにくいケースもあります。漢方は、目の疲れを体全体のバランスの問題として捉え、「肝」「血」「腎」といった体の働きを整えることでサポートするアプローチです。
杞菊地黄丸や八味地黄丸をはじめとする漢方は、それぞれ体質によって向き不向きがあります。自分に合った処方を見つけるために、まずは薬剤師や漢方専門医に相談することをおすすめします。漢方と日々の生活習慣の見直しを組み合わせて、目の疲れが気にならない毎日を目指しましょう。
📦 この記事で紹介した商品
参考:日本眼科医会
参考:日本東洋医学会
漢方と目薬・サプリメントの使い分け
目の疲れに対しては、目薬・サプリメント・漢方とさまざまな選択肢があります。それぞれの特徴を理解して使い分けましょう。
目薬は「その場の対処」に
目薬は目の表面に直接作用するため、乾きや充血といった症状に対して即時的なケアができます。ただし、目の疲れの根本原因にアプローチするものではないため、目薬だけでは不十分と感じる場合があります。
サプリメントは「栄養補給」に
ルテインやアスタキサンチン、ブルーベリーエキスなどを含むサプリメントは、目の健康に関わる栄養素を補う目的で利用されています。食事だけで十分に摂れない栄養素を補完するものとして活用できます。
漢方は「体質からのアプローチ」に
漢方は目の疲れを体全体のバランスの問題として捉え、「肝」「血」「腎」といった体の機能を整えることで、根本的な体質面からサポートするアプローチです。即効性よりも、体質を整えて目が疲れにくい状態をつくることを目指します。これらを上手に組み合わせることで、より包括的な目のケアが可能になります。


