パソコンやスマホを長時間使っていると、目がショボショボしたり、ゴロゴロした違和感が出てきたりしませんか。「目薬をさしてもすぐ乾く」「コンタクトがつらい」「夕方になると目がかすむ」――こうしたドライアイの悩みを抱える方は年々増えています。
ドライアイは涙の量が減ったり、涙の質が変わったりすることで起こる目の不調です。西洋医学では点眼薬による対症療法が中心ですが、東洋医学では体の内側からのケアで根本的な改善を目指します。
この記事では、ドライアイ・目の乾燥が気になる方に向けて、漢方的な考え方やおすすめの処方、日常でできる養生法を詳しく解説していきます。

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ドライアイを漢方ではどう考える?


「肝血虚」|目を潤す栄養が足りない状態
東洋医学では「肝は目に開竅(かいきょう)する」と言われ、目の健康は「肝」の働きと深くつながっていると考えます。肝に蓄えられた「血」が目を潤し、栄養を届ける役割を担っています。
この肝の血が不足した状態を「肝血虚(かんけっきょ)」と呼びます。目の乾燥だけでなく、目の疲れ、視力の低下、目のかすみ、まぶたのピクピクした痙攣なども肝血虚のサインとされています。
「肝腎陰虚」|体の根本的な潤い不足
肝と腎はお互いに助け合う関係にあり、「肝腎同源(かんじんどうげん)」と呼ばれます。腎の陰液(体を潤す成分)が不足すると、肝の血も不足しやすくなります。
この「肝腎陰虚(かんじんいんきょ)」の状態では、目の乾燥に加えて、足腰のだるさ、手足のほてり、のぼせ、耳鳴り、口の渇きなどの症状が見られることがあります。加齢とともにこのタイプは増える傾向にあります。
「気陰両虚」|エネルギーと潤いの両方が不足
過労やストレス、睡眠不足などが続くと、「気」と「陰」の両方が消耗してしまうことがあります。この状態では目の乾燥に加えて、全身の疲労感、汗をかきやすい、息切れなどの症状が出やすくなります。
漢方では「目が乾く=涙が少ない」だけでなく、「体全体の潤い・栄養がどこで不足しているか」を見極めてアプローチします。タイプによって合う処方が異なるため、自分の体質を知ることが大切です。
ドライアイによく用いられる漢方薬


杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)
ドライアイの漢方治療で代表的な処方で、六味地黄丸に「枸杞子(クコの実)」と「菊花(キクカ)」を加えたものです。枸杞子は肝腎を補って目を潤す生薬として知られ、菊花は目の充血やかすみに用いられてきました。
体力が中程度以下で、疲れやすく、目のかすみ・目の疲れ・目の乾燥が気になる方に適しています。のぼせ、頭重、めまいなどを伴う方にも使われます。クラシエや小太郎漢方から市販薬が販売されています。
滋腎明目湯(じじんめいもくとう)
腎を補い、目を明るくするという意味の名前を持つ処方です。肝腎陰虚タイプで、目の乾燥・かすみに加えて視力の低下が気になる方に向いています。杞菊地黄丸よりも腎を補う力が強いとされています。
四物湯(しもつとう)
血を補う基本処方として古くから使われてきた漢方薬です。肝血虚が中心のドライアイで、目の乾燥とともに顔色が青白い、爪がもろい、髪がパサつくなどの症状がある方に検討されます。
麦門冬湯(ばくもんどうとう)
体の乾燥症状全般に用いられる処方で、喉や口の渇き、空咳などを伴うドライアイの方にも応用されることがあります。体の潤いを補う「滋陰(じいん)」の働きが期待されています。
八味地黄丸(はちみじおうがん)
加齢による腎虚が顕著で、冷えを伴う方のドライアイに用いられます。足腰の冷え、夜間頻尿、腰痛などがある方に適していますが、胃腸が弱い方には合わないこともあるため注意が必要です。


体質別の漢方の選び方
目の疲れ・かすみが中心のタイプ(肝血虚)
パソコン作業が多く、目が疲れやすい、視界がかすんで見にくくなる、爪が割れやすい、髪がパサつく、といった症状がある方は肝血虚タイプの可能性があります。四物湯をベースにした処方や、杞菊地黄丸が検討されます。
のぼせ・ほてりを伴うタイプ(肝腎陰虚)
目の乾燥に加えて、手足のほてり、のぼせ、口の渇き、腰のだるさなどがある方は肝腎陰虚タイプです。杞菊地黄丸が第一選択として多く使われ、より腎虚が強い場合は滋腎明目湯が検討されます。
冷え・頻尿を伴うタイプ(腎陽虚)
目の乾燥に加えて、足腰の冷え、夜間頻尿、腰痛などがある方は腎陽虚の要素が加わっています。八味地黄丸で腎を温めながら補うアプローチが適しています。
全身の乾燥が気になるタイプ(陰虚)
目だけでなく、口・喉・肌など全身の乾燥が気になる方は、体全体の「陰(潤い)」が不足しています。麦門冬湯などの滋陰作用のある処方が合うことがあります。
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ドライアイの養生法|日常でできるセルフケア


目を休める習慣をつける
パソコンやスマホの連続使用は、まばたきの回数を減少させてドライアイを悪化させます。20分画面を見たら20秒以上遠くを見る「20-20ルール」を意識することで、目の負担を軽減できます。
また、画面の位置を目線よりやや下に設定すると、まぶたの開きが小さくなり、涙の蒸発を抑えることにつながります。
食事で「肝」と「腎」を養う
東洋医学では、目の健康を守るために肝と腎を養う食材を積極的に摂ることが勧められています。おすすめの食材は次のとおりです。
肝を養う食材:クコの実、菊花茶、ほうれん草、レバー、ブルーベリー、にんじん、黒ごま
腎を養う食材:山芋、黒豆、黒きくらげ、くるみ、なつめ、牡蠣
潤いを補う食材:白きくらげ、梨、はちみつ、豆乳、松の実
こうした食材を毎日の献立にどう組み込むかを、東洋医学の考え方から順序立てて学びたい方には、薬膳をオンラインで学べる「養生薬膳資格取得講座」があります。体質のチェック方法や五行の考え方、季節ごとの旬の食材を使ったレシピまで扱う講座なので、食養生を続ける手がかりがほしい方は内容をのぞいてみてください。



ツボ押しで目の疲れをケア
目の周りにはドライアイや目の疲れに関わるツボが集まっています。
睛明(せいめい):目頭と鼻の付け根の間のくぼみです。親指と人差し指で軽くつまむように押すと、目の疲れをケアできるとされています。
太陽(たいよう):こめかみのやや目尻寄りにあるくぼみです。円を描くようにやさしくマッサージすると、目の周りの血行が促されます。
攅竹(さんちく):眉頭の内側のくぼみです。親指で下から押し上げるように刺激します。
生活環境を整える
エアコンの風が直接目に当たらないよう風向きを調整する、部屋の湿度を50~60%に保つ、加湿器を活用するなど、環境面からの対策も重要です。
ドライアイの症状が強い場合や、視力の急激な変化がある場合は、まず眼科を受診して原因を確認しましょう。漢方は補助的なアプローチとして取り入れるのがおすすめです。
Q&A|漢方とドライアイに関するよくある質問
Q. 漢方薬と目薬は併用できる?
基本的に漢方薬と点眼薬は作用する場所が異なるため、併用が可能な場合がほとんどです。ただし、服用中の薬がある場合は、事前に医師や薬剤師に相談してください。
Q. 杞菊地黄丸はドラッグストアで買える?
クラシエの「杞菊地黄丸」はドラッグストアやオンラインショップで購入できます。ただし、自分に合う処方かどうか迷ったときは、漢方に詳しい薬剤師に相談するとよいでしょう。
Q. 漢方でドライアイの変化を感じるまでの期間は?
個人差がありますが、一般的に2週間~1か月程度で何らかの変化を感じる方が多いとされています。体質改善を目的とする場合は、3か月以上の継続が推奨されることもあります。
Q. クコの実はどうやって取り入れるのがおすすめ?
クコの実(ゴジベリー)は、お茶に入れる、お粥のトッピングにする、ヨーグルトに混ぜるなど、手軽に取り入れられます。1日10~15粒程度が目安です。


まとめ|ドライアイは体の内側からの養生がカギ
ドライアイは単なる「目の潤い不足」ではなく、東洋医学的には肝や腎の働きと深く関わる体全体のバランスの乱れとして捉えられています。
杞菊地黄丸を中心に、体質に合った漢方薬を選ぶことで、目薬だけでは対応しきれない根本的なケアが期待できます。食養生やツボ押しなどのセルフケアも組み合わせると、より実感が得られやすくなるでしょう。
目の乾燥が気になる方は、まずは自分の体質タイプを確認し、漢方を活用した養生を始めてみてはいかがでしょうか。
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参考:クラシエ|杞菊地黄丸の解説 薬石花房 幸福薬局|ドライアイの漢方治療 漢方の健伸堂|ドライアイの漢方薬解説
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