春は新しいスタートの季節です。しかし漢方的には最もストレスが溜まりやすい季節でもあるのです。環境の変化が多く、自律神経が乱れがちだからです。
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春と「肝」の関係


肝は気の巡りを司る
漢方の「肝」は西洋医学の肝臓とは少し異なり、気(エネルギー)の巡りや情緒のコントロールを担います。春は自然界の「生・発」の季節で、肝の気が上昇しやすいのです。
肝の気が乱れると起きる症状
イライラ、怒りっぽい、頭痛、めまい、目の充血、筋肉の痙攣、脇腹の張りなどが起こります。春に情緒不安定になりやすいのは、肝の気が昂ぶっているからです。花粉症も肝の乱れと関係すると考えられています。


春の食養生


おすすめの食材
山菜・春野菜:菜の花、ふきのとう、タケノコ、セロリ。苦味のある春野菜は肝の余分な熱を冷まして気の巡りを良くします。
酸味のある食材:梅干し、酢の物、柑橘類。酸味は肝に作用して気を収めます。
香りのある食材:シソ、三つ葉、ミント、ジャスミン。芳香成分が気の巡りを改善します。
控えたい食材
辛いもの(肝の気をさらに昂ぶらせる)、お酒(肝に負担)、脂っこいものは控えめにしましょう。農林水産省の旬の食材情報も活用してください。
春におすすめの漢方薬
加味逍遙散
イライラ、情緒不安定、不眠に用いられます。春のストレス対策の第一選択とも言える処方です。肝の気を巡らせながら精神を安定させます。
抑肝散
怒りっぽい、神経過敏、不眠に用いられます。肝の気を抑えて精神を落ち着かせます。名前の通り「肝を抑える」漢方です。
小柴胡湯
脇腹の張り、食欲不振、微熱に用いられます。肝と脾のバランスを整えます。春のだるさにも効果的です。
春の生活養生


・早寝早起き(春は夜更かしNG)
・朝の散歩で日光を浴びる
・ストレッチやヨガで体をほぐす
・締め付けの少ない服装
・深呼吸でリラックスする時間を作る
・e-ヘルスネット(現在は厚生労働省 健康日本21アクション支援システムに統合)の運動情報も参考に


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春の花粉症と漢方
花粉症は「衛気」の問題
漢方では花粉症は体のバリア機能(衛気)が弱いことで起きると考えます。黄耆や白朮で衛気を強化すると、花粉症が軽くなることがあります。
花粉症におすすめの漢方薬
小青竜湯(水っぽい鼻水)、麻黄附子細辛湯(寒気を伴う鼻水)、荊芥連翹湯(鼻づまり)などがあります。症状のタイプによって処方が異なります。
よくある質問
Q. 春に五月病になるのは漢方的にはなぜ?
環境変化によるストレスが肝の気を乱すからです。加味逍遙散や逍遙散で肝の気を巡らせるのが漢方的な対処法です。厚生労働省のメンタルヘルス情報も参考にしてください。
Q. 春にデトックスって良いの?
漢方的にも春はデトックスに適した季節です。冬に溜め込んだ老廃物を排出する時期なので、苦味のある春野菜を食べるのは理にかなっています。
Q. 春の養生は何月から始めればいい?
旧暦では2月4日(立春)からです。ただ実際は3月くらいから意識し始めれば大丈夫です。季節の変わり目は特に養生を意識しましょう。
Q. 春にイライラしやすいのは漢方的に正常?
正常というより「よくあること」です。春は肝の気が上昇しやすく、コントロールが効かないとイライラや怒りっぽさにつながります。加味逍遙散や菊花茶で肝の気を鎮めるのが効果的です。
Q. 春の朝は何時に起きるのがいい?
漢方では「春は早起きして伸び伸び過ごす」のが理想です。冬より30分~1時間早く起きて、朝の光を浴びると肝の気がスムーズに巡ります。無理のない範囲で少しずつ早起きにシフトしてみてください。
Q. 春野菜の苦味が苦手な場合は?
天ぷらにすると苦味がマイルドになります。また、ふきのとう味噌や山菜のおひたしなど、調理法を工夫すれば食べやすくなります。春の苦味は体のデトックスに役立つので、少量でも取り入れてみてください。


春の養生でよくある失敗パターン
失敗1:春なのに冬の食事をそのまま続けてしまう
冬の間は体を温める羊肉や生姜を意識して摂っていた人が、春になっても同じ食事を続けてしまうことがあります。春は肝の気が上昇しやすい季節なので、温性の食材を摂りすぎるとのぼせやイライラが出やすくなります。春は温める食材を減らして、菜の花やセロリなど気の巡りを良くする食材にシフトしましょう。季節に合わせた食のスイッチ切り替えが養生の基本なのです。
失敗2:新年度のストレスを「気合いで乗り切ろう」として悪化する
4月は環境変化のストレスが多い時期です。「新しい職場だからがんばらなきゃ」と気合いを入れすぎて、肝の気がさらに昂ぶってイライラ・不眠・頭痛が悪化します。漢方的に春は「伸びやかに過ごす」のが正解で、頑張りすぎは逆効果です。ストレスを感じたら深呼吸、散歩、ストレッチで気を巡らせましょう。加味逍遙散も春のストレス対策に効果的です。
失敗3:花粉症の薬だけに頼って体質改善を怠る
花粉症の西洋薬(抗ヒスタミン薬)は症状を抑えるだけで根本解決にはなりません。漢方では花粉症は衛気(体のバリア機能)の弱さが原因と考えるため、黄耆や白朮で衛気を強化する体質改善が大切です。花粉シーズンの1〜2ヶ月前から漢方薬を始めると、来年は薬の量が減ることもあります。


春の養生に関するQ&A
Q. 春の養生はいつからいつまで意識すればいい?
立春(2月初旬)から立夏(5月初旬)までが漢方の春です。実際には3月〜5月のゴールデンウィーク頃まで意識すれば大丈夫です。特に3月下旬〜4月は環境変化も大きいので、養生を意識する価値が高い時期です。
Q. 春のストレス対策に効くお茶は?
ジャスミン茶が春のストレス対策に最適です。ジャスミンの芳香成分が肝の気を巡らせてリラックスさせてくれます。菊花茶もおすすめで、目の疲れやのぼせにも効きます。ミント入りのお茶も気の巡りを改善してくれます。
Q. 春の運動はどんなものがおすすめ?
散歩、ストレッチ、ヨガ、太極拳など穏やかな運動がベストです。激しい運動で大汗をかくよりも、体を伸ばして気を巡らせる運動の方が春の養生には合っています。朝の公園で深呼吸しながら歩くだけでも十分な養生になります。
Q. 春に肝を整える漢方薬はどれを選べばいい?
イライラ・ストレスが強い→加味逍遙散。怒りっぽい・不眠→抑肝散。脇腹の張り・食欲不振→小柴胡湯。めまい・立ちくらみ→苓桂朮甘湯。症状によって処方が異なるので、漢方外来で相談するのが確実です。
Q. 春に避けた方がいい食べ物は具体的に何?
辛いもの(唐辛子、わさび、山椒の大量摂取)は肝の気をさらに昂ぶらせるので控えめにしましょう。お酒も肝に負担をかけるので飲みすぎに注意してください。揚げ物など脂っこいものも肝の熱を助長します。春は「あっさりした味付け」を心がけると体も心もすっきりします。


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