「手足が冷えて月経が安定しない」「妊活中だけど冷え体質が気になる」「唇が乾燥して手のひらだけほてる」――こうした悩みを抱えている方に注目されているのが、漢方薬の温経湯(うんけいとう)です。
温経湯は、体の冷えを取り除きながら血の巡りを整え、ホルモンバランスに関わる不調へアプローチする漢方薬です。ツムラ106番として医療機関でも広く処方されており、婦人科領域では月経不順や妊活サポートの場面で多く用いられています。
この記事では、温経湯の構成生薬や用いられる症状、正しい飲み方、注意すべき副作用まで詳しく解説します。冷えや月経トラブル、妊活に関心がある方はぜひ参考にしてください。

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温経湯とは?基本情報と漢方的な位置づけ


温経湯は、中国の古典『金匱要略(きんきようりゃく)』に記載されている歴史ある処方で、日本でも長く使われてきた漢方薬です。医療用漢方薬としてはツムラ106番として知られており、婦人科や内科で処方頻度の高い漢方薬のひとつです。
漢方医学では、月経や妊娠に関わるトラブルの背景に「冷え」と「瘀血(おけつ=血の巡りの停滞)」があると考えます。温経湯は経絡(けいらく)を温めて血行を促すという意味を持ち、冷えによって滞った血の巡りを回復させることを目指す処方です。
特に「体力があまりなく、手足が冷えやすいのに手のひらだけがほてる」「唇が乾燥しがち」という独特の体質パターンに合いやすいとされています。こうした体質は東洋医学では「血虚(けっきょ)」と「瘀血」が同時に存在する状態と考えられ、温経湯はその両方にアプローチします。
温経湯は医療機関で処方されるほか、同じ処方名の市販薬もドラッグストアや通販で取り扱いがあります。どんな製品が出ているか見ておきたい方は、こちらから確認できます。
温経湯が向いている方の特徴:体力があまりなく疲れやすい方、手足が冷えるのに手のひらがほてる方、唇や肌が乾燥しやすい方、月経不順や月経痛がある方、妊活中で冷え体質が気になる方に用いられます。
温経湯を構成する12種類の生薬


温経湯は12種類もの生薬で構成されています。血を補うグループ、血行を促すグループ、体を温めるグループ、潤いを与えるグループがバランスよく組み合わさった処方です。
呉茱萸(ゴシュユ)
体の内側から温め、冷えによる痛みを和らげる主要な生薬です。特にお腹や下半身の冷えに対して力を発揮し、経絡を温める処方名の由来にもなっています。
当帰(トウキ)
血を補い、血行を促す代表的な生薬です。婦人科系の漢方薬には欠かせない存在で、月経トラブルや冷えに幅広く用いられます。
芍薬(シャクヤク)
血を補いながら筋肉の緊張を和らげる生薬です。当帰と組み合わせることで、血を補う力がさらに高まります。
川芎(センキュウ)
血の巡りを活発にし、痛みを和らげる生薬です。当帰・芍薬とともに「四物湯(しもつとう)」の構成生薬であり、血に関わるトラブルの基本となる組み合わせです。
牡丹皮(ボタンピ)
滞った血(瘀血)を取り除く駆瘀血薬としての役割を持ちます。温経湯の中で血の巡りを改善する中核的な生薬です。
人参(ニンジン)
胃腸の働きを高め、エネルギー(気)を補う生薬です。体力が低下している方の基礎的な力を底上げします。
桂皮(ケイヒ)
体を温め、血管を広げて血行を促進する生薬です。呉茱萸とともに冷えの改善に貢献します。
甘草(カンゾウ)
各生薬の働きを調和させ、胃腸への負担を軽減する役割を持ちます。
生姜(ショウキョウ)
胃腸を温めて消化を助け、吐き気を抑える生薬です。他の生薬の吸収を助ける働きもあります。
半夏(ハンゲ)
余分な水分を取り除き、吐き気やみぞおちのつかえを改善する生薬です。
麦門冬(バクモンドウ)
体に潤いを与える生薬で、唇や肌の乾燥を和らげます。温経湯に含まれることで、温める作用と潤す作用のバランスが取れた処方になっています。
阿膠(アキョウ)
血を補い、体を潤す力がある生薬です。貧血傾向の方や乾燥が気になる方に適しています。


温経湯が用いられる主な症状
温経湯は、冷えと血の巡りの乱れが関わるさまざまな症状に用いられます。特に婦人科領域での活用が多い漢方薬です。
月経不順・月経痛
冷えによって血の巡りが悪くなり、月経周期が乱れたり月経痛が強くなったりしている場合に用いられます。特に月経が遅れがちで経血量が少ないタイプの方に選ばれることが多いです。
妊活中の体質づくり
温経湯は妊活中の方の体質づくりに用いられることが多い漢方薬です。冷えを改善しながら血行を促し、子宮や卵巣への血流をサポートすることで、体の土台づくりに役立つとされています。ただし、温経湯には駆瘀血薬(牡丹皮)が含まれるため、妊娠が判明した時点で服用を中止する必要があります。
更年期に伴う不調
更年期に起こるほてり・冷え・イライラなどの症状にも用いられます。特に「手のひらがほてるのに足は冷える」という上熱下寒の体質パターンに合いやすいとされています。
手荒れ・皮膚の乾燥
血虚による皮膚の乾燥やひび割れ、手荒れにも活用されます。血を補い潤いを与える生薬が含まれているため、乾燥肌が気になる方にも選ばれています。
温経湯は「体質」に合わせて使う漢方薬です。冷えがなく体力が充実している方、のぼせが強い方には合わないことがあります。自己判断での服用は避け、医師や薬剤師に相談しましょう。
温経湯の正しい飲み方と服用タイミング


温経湯の力を十分に引き出すためには、正しい飲み方を守ることが大切です。
基本の服用方法
医療用の温経湯エキス顆粒(ツムラ106番)の場合、通常は成人1日7.5gを2〜3回に分けて服用します。食前(食事の30分〜1時間前)または食間(食後2〜3時間後)に、白湯またはぬるま湯で溶かして飲むのが基本です。
漢方薬は空腹時に服用することで有効成分の吸収が安定しやすくなりますが、胃腸が弱い方や飲みにくい場合は食後の服用でも構いません。大切なのは毎日忘れずに継続することです。
効果を感じるまでの目安期間
温経湯の場合、体質を根本から整える処方のため、効果を感じるまでに2〜3ヶ月程度かかることが多いとされています。妊活目的の場合は3〜6ヶ月の継続服用が一般的です。「数日飲んで変化がないから合わない」と判断するのは早すぎるため、焦らずに続けることが大切です。
続けている間は、日常の冷え対策も並行して意識しておきたいところです。お腹まわりを冷やさない工夫として、腹巻を取り入れている方も多くいます。
市販品と処方薬の違い
温経湯はドラッグストアでも市販品が購入できますが、医療用と市販品では1日あたりの生薬配合量が異なることがあります。医療機関で処方してもらう方が配合量が多く、保険適用で費用を抑えられる場合もあるため、まずは漢方に詳しい医師への相談をおすすめします。


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温経湯の副作用と注意点
温経湯は比較的穏やかな漢方薬ですが、体質や他の薬との組み合わせによっては注意が必要な場合があります。
甘草による偽アルドステロン症
温経湯に含まれる甘草は、長期間の服用や他の甘草含有薬との併用で「偽アルドステロン症」を引き起こすことがあります。主な症状はむくみ・血圧上昇・低カリウム血症などです。定期的な血液検査で電解質バランスをチェックすることが推奨されます。
妊娠中の服用について
温経湯には駆瘀血薬である牡丹皮が含まれています。妊娠が判明した時点で服用を中止する必要があります。妊活中は服用できますが、妊娠の可能性がある時期には医師と相談しながら慎重に使用してください。
胃腸が弱い方への配慮
温経湯は胃腸を助ける生薬も含まれていますが、もともと胃腸が非常に弱い方は胃部不快感や食欲不振が出ることがあります。その場合は食後に服用する、量を減らすなどの対応が可能です。
他の漢方薬やサプリメントと併用する場合は、甘草の重複摂取に注意が必要です。複数の漢方薬を飲んでいる方は、医師や薬剤師に全ての服用薬を伝えてください。
温経湯と似た処方との違い
婦人科系の漢方薬にはいくつか有名な処方があります。温経湯との違いを知っておくと、自分に合った漢方薬を見つけやすくなります。
当帰芍薬散との違い
当帰芍薬散は、温経湯と同じく冷えや月経トラブルに用いられますが、むくみや水分代謝の乱れが目立つ方に向いています。一方、温経湯は乾燥や手のひらのほてりが特徴的な方に選ばれます。
加味逍遙散との違い
加味逍遙散はイライラやのぼせが強い方に向いています。ストレスによる情緒不安定が主訴の場合は加味逍遙散、冷えと乾燥が主訴の場合は温経湯、というように使い分けられます。
桂枝茯苓丸との違い
桂枝茯苓丸は比較的体力がある方の瘀血に使われます。温経湯は体力があまりない方の冷え+瘀血に使われるため、体力の差が選択のポイントになります。
温経湯に関するQ&A
Q. 温経湯は男性でも飲めますか?
はい、温経湯は女性専用の漢方薬ではありません。手足の冷えや皮膚の乾燥など、温経湯の適応となる体質パターンに合致していれば男性にも処方されることがあります。ただし、婦人科系の症状に用いられることが非常に多い処方です。
Q. 温経湯を飲みながら妊活して大丈夫ですか?
妊活中の服用は問題ありませんが、妊娠が判明した時点で服用を中止する必要があります。これは温経湯に含まれる牡丹皮に駆瘀血作用があるためです。妊活中はかかりつけ医と相談しながら服用してください。
Q. 温経湯はどのくらいの期間飲めばよいですか?
一般的には2〜3ヶ月を目安に効果を確認します。妊活目的の場合は3〜6ヶ月の継続が推奨されています。ただし、漫然と長期服用するのではなく、定期的に医師の診察を受けて体質の変化を確認することが大切です。
Q. 温経湯と他の漢方薬は一緒に飲めますか?
組み合わせ次第では併用可能ですが、甘草を含む他の漢方薬との併用には注意が必要です。自己判断での併用は避け、医師または薬剤師に相談してください。


まとめ:温経湯は冷え・月経トラブル・妊活が気になる方に
温経湯は、冷えと血の巡りの乱れを同時にケアし、月経トラブルや妊活中の体質づくりに用いられる漢方薬です。12種類の生薬が温める・補う・潤す・巡らせるという多角的なアプローチで、冷え体質の方の不調にじっくり働きかけます。
効果を実感するまでには2〜3ヶ月の継続が目安となるため、焦らずに服用を続けることが大切です。「手足は冷えるのに手のひらだけほてる」「唇が乾燥しやすい」といった方は、温経湯の体質パターンに合致している可能性があります。
漢方薬は体質に合ったものを選ぶことで力を発揮します。気になる方は、漢方に詳しい医師や薬剤師に相談してみてはいかがでしょうか。
参考:ツムラ漢方ビュー 温経湯、クラシエ漢方セラピー、名城大学 漢方処方解説 温経湯
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