「生理の周期がバラバラで、いつ来るか分からない」「2〜3か月に1回しか生理が来ない」「逆に月に2回来ることがある」。月経不順は多くの女性が経験する悩みですが、放置すると将来の妊娠や骨の健康にも影響する可能性があります。
月経不順の原因は、ストレス・過度なダイエット・ホルモンバランスの乱れ・多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)など多岐にわたります。漢方では、ホルモン値の数字だけでなく、体質全体を整えることで月経周期の正常化を目指します。
この記事では、月経不順が気になる方に向けて、漢方的な考え方やおすすめの処方、体質別の選び方を詳しく解説します。

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月経不順を漢方ではどう考える?


「血虚(けっきょ)」|血の不足
東洋医学で「血」は全身に栄養を届ける要素です。血が不足すると子宮に十分な栄養が届かず、月経が遅れたり量が減ったりします。顔色が悪い、めまいがする、爪がもろい、髪にツヤがないなどの症状を伴うことが多いです。過度なダイエットや偏食が原因になることもあります。
「気滞血瘀(きたいけつお)」|ストレスによる巡りの悪化
ストレスや精神的な緊張が続くと、気の流れが滞り(気滞)、それに伴って血の巡りも悪くなります(血瘀)。月経周期が不安定になり、生理痛が強くなったり、経血に塊が混じったりします。イライラ・胸の張り・下腹部の張りを伴うことが多いです。
「腎虚(じんきょ)」|ホルモンバランスの乱れ
東洋医学の「腎」は生殖機能やホルモンバランスを司る臓腑です。腎のエネルギーが不足すると、月経周期が乱れやすくなります。初潮が遅かった方、痩せ型で体力が低い方に多いタイプです。
「痰湿(たんしつ)」|水分代謝の異常
体内に余分な水分や老廃物(痰湿)が溜まると、気血の巡りが阻害されて月経不順になることがあります。肥満傾向がある方、むくみやすい方、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の方に多く見られるタイプです。
「脾虚(ひきょ)」|消化吸収力の低下
胃腸が弱いと、食事から十分な栄養を吸収できず、血が作られにくくなります。結果として月経に必要な血が不足し、周期が乱れます。食欲不振・軟便・疲れやすい方に多いタイプです。
月経不順に対する漢方のアプローチは、「血を補う」「気血の巡りを整える」「腎を補う」「痰湿を取り除く」など、原因となる体質の偏りを多方面から整えることが基本です。
月経不順によく用いられる漢方薬
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
月経不順に対して最も処方されることが多い婦人科漢方のひとつです。血を補い、水分代謝を整え、冷えやむくみを改善する作用があるとされています。
体力が比較的低下した方、冷え性で顔色が悪い方に適しています。妊娠を希望する方にも使いやすい処方で、排卵をサポートする作用も期待されています。
加味逍遙散(かみしょうようさん)
ストレスによる月経不順に用いられる代表的な処方です。気の巡りを改善し、イライラ・不安・精神不安を伴う月経不順にアプローチします。更年期にも広く用いられる処方で、精神症状が目立つ方に特に適しています。
温経湯(うんけいとう)
冷えが強く、月経が遅れがちな方に用いられます。体を温めながら血を補い、瘀血を改善する処方です。手のひらのほてり、唇の乾燥などの独特の症状がある方に適しています。不妊のケアにも用いられることがあります。
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
瘀血が強い方の月経不順に用いられます。のぼせがあるのに足が冷える、生理痛が強い、経血に塊が多いという方に適しています。体力が中程度以上の方に向いた処方です。
四物湯(しもつとう)
血を補う基本処方で、血虚が月経不順の主因になっている方に用いられます。貧血傾向が強い方、肌が乾燥しやすい方に適しています。単独で使うこともあれば、他の処方と組み合わせることもあります。
桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
体力があり、便秘を伴う方の月経不順に用いられます。瘀血と便秘を同時に解消する力の強い処方で、のぼせやイライラを伴う方に適しています。ただし体力が低下している方には向きません。


体質別の漢方の選び方


冷え・貧血・疲れやすいタイプ(血虚・気虚)
当帰芍薬散で血を補い、冷えとむくみを改善します。食欲がない場合は補中益気湯で気も同時に補うことがあります。鉄分やたんぱく質を意識した食事も大切です。
ストレス・イライラ・PMSが強いタイプ(気滞)
加味逍遙散で気の巡りを整えます。ストレスの元を減らす工夫や、趣味やリラックスの時間を確保することも養生として重要です。
のぼせ・生理痛が強い・経血に塊が多いタイプ(瘀血)
桂枝茯苓丸または桃核承気湯で瘀血を取り除きます。便秘があるかどうかで使い分けます。適度な運動で血の巡りを良くすることも大切です。
やせ型・初潮が遅かった・月経が数か月に1回タイプ(腎虚)
温経湯で腎を補い、体を温めながら月経周期の回復を目指します。無理なダイエットを避け、十分な栄養を摂ることが基本です。極端な食事制限は月経不順を悪化させる原因になります。
3か月以上月経が来ない場合(無月経)は、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)・甲状腺疾患・早発卵巣不全など、治療が必要な疾患が隠れている可能性があります。まず婦人科を受診して、原因を調べてもらいましょう。
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月経不順の養生法|日常で取り入れたいセルフケア


規則正しい生活リズムを
不規則な生活はホルモンバランスを乱し、月経不順の原因になります。起床・就寝時間を一定にし、十分な睡眠(7〜8時間)を確保することが月経周期の安定につながります。
体を温める食材を積極的に
生姜、ネギ、にんにく、シナモン、なつめ、黒糖など、体を温める食材を意識して取り入れましょう。東洋医学では、なつめ(大棗)は血を補う代表的な食材として重宝されています。
なつめや生姜などの食材を、季節や体質に合わせて家庭の料理に取り入れる方法を順序立てて学びたい方には、NPO法人日本統合医学協会の「養生薬膳資格取得講座」があります。チェック表で体質・体調を探るところから始まり、季節の食材を使ったおかず作りへと進む内容で、オンライン講座とテキストで学べます。



過度なダイエットを避ける
BMI18.5未満のやせすぎは月経不順や無月経のリスクを高めます。特に10代〜20代の過度な食事制限は、将来の骨密度や妊孕性にも影響します。栄養バランスの良い食事を心がけましょう。
ストレスケアを大切に
ストレスは視床下部・下垂体・卵巣のホルモン軸を乱し、月経不順の大きな原因になります。深呼吸、ヨガ、アロマテラピーなど、自分に合ったストレス解消法を見つけましょう。
基礎体温をつけてみよう
基礎体温を記録することで、排卵の有無や月経周期のパターンが見えてきます。漢方の処方を決める際の参考にもなるので、毎朝起き上がる前に基礎体温を測る習慣をつけましょう。


よくある質問
Q. 月経不順に漢方薬はどれくらいで変化を感じますか?
個人差がありますが、2〜3周期(2〜3か月)で月経周期に変化が見られる方が多いです。無月経の場合はもう少し時間がかかることもあり、半年〜1年の継続が必要になることもあります。
Q. ピルと漢方は併用できますか?
多くの場合、併用は可能です。ピルで月経周期を整えながら、漢方で体質改善を行うという使い方もあります。ただし必ず婦人科の主治医に漢方を使いたい旨を伝えてください。
Q. 市販の漢方薬で対応できますか?
当帰芍薬散や加味逍遙散は市販でも購入可能です。ただし、月経不順の原因は多岐にわたるため、まず婦人科で原因を調べてから漢方を取り入れるのが安心です。
Q. 10代の月経不順にも漢方は使えますか?
使えます。初潮後数年間は月経周期が安定しないことも多いですが、成長期の栄養不足やストレスが原因の場合は漢方が役立つことがあります。小児科や思春期外来で相談してみましょう。
Q. 月経不順のケアに役立つツボはありますか?
三陰交(さんいんこう)は月経トラブル全般に用いられる代表的なツボです。足の内くるぶしから指4本分上にあり、血の巡りを改善して月経周期を整えるとされています。毎日お灸を据えたり、指で押したりするセルフケアが手軽に始められます。また、関元(かんげん)はおへその下にあるツボで、子宮を温める作用があるとされています。
Q. 月経不順と妊活の関係は?
月経不順は排卵障害を伴うことがあり、不妊の原因になる可能性があります。妊娠を希望する場合は、月経不順を放置せず、婦人科で排卵の状態を確認しましょう。当帰芍薬散や温経湯は排卵をサポートする作用もあるとされており、妊活中の体質改善にも用いられています。
Q. ストレスで生理が止まった場合、漢方で戻りますか?
ストレスが原因の無月経に対して、加味逍遙散や温経湯で改善が見られるケースはあります。ただし、3か月以上月経が来ない場合は、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)や甲状腺疾患など他の原因が隠れている可能性もあります。まず婦人科を受診して原因を特定することが大切です。
まとめ
月経不順に対する漢方のアプローチは、「血虚」「気滞」「腎虚」「痰湿」といった体質の偏りを整え、自然な月経周期の回復を目指すものです。当帰芍薬散、加味逍遙散、温経湯、桂枝茯苓丸など、体質に応じた処方が複数あります。
漢方薬だけでなく、規則正しい生活、体を温める食事、ストレスケアなど日常の養生も組み合わせることが大切です。月経不順が続く方は婦人科を受診し、原因を確認したうえで漢方も選択肢に入れてみてください。
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