生姜はキッチンにある身近な食材ですが、漢方の世界では「生薬」としても使われるかなりの実力派です。葛根湯にも入っていることをご存じでしょうか。漢方的な生姜の使い方を詳しく紹介します。
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漢方における生姜の位置づけ


生姜(しょうきょう)と乾姜(かんきょう)
漢方では生の生姜を「生姜(しょうきょう)」、乾燥させた生姜を「乾姜(かんきょう)」と区別します。同じ生姜でも効能が違うのが面白いところです。
生姜(しょうきょう):体の表面を温めて発汗を促します。風邪のひき始めに用いられます。吐き気止めの作用もあります。
乾姜(かんきょう):体の深部を温めます。冷えが強い方の体質改善に用いられます。消化器系を温める力が強いのが特徴です。
多くの漢方薬に配合されている
葛根湯、小青竜湯、半夏瀉心湯など、非常に多くの漢方薬に生姜が配合されています。ツムラ公式サイトで確認すると、約70%の処方に生姜か乾姜が入っています。それだけ漢方にとって重要な生薬ということです。


生姜の漢方的な効能
温中散寒(おんちゅうさんかん)
体を温めて冷えを追い払う効果です。特に胃腸の冷えに効きます。冷たいものを食べすぎてお腹が痛い時、生姜湯を飲むと楽になるのはこの作用です。
発汗解表(はっかんげひょう)
汗をかかせて風邪のウイルスを体の表面から追い出します。風邪のひき始めに生姜湯を飲む民間療法は、漢方的にも理にかなっています。
止嘔(しおう)
吐き気を止める効果です。つわり、乗り物酔い、薬の副作用による吐き気に用いられます。実際に抗がん剤による吐き気の緩和に生姜が使われることもあります。J-STAGEにも関連研究が多数報告されています。
健胃(けんい)
胃の働きを活発にします。食欲不振や消化不良に用いられます。他の生薬の胃への刺激を和らげる「調和」の役割もあります。そのため多くの漢方薬に配合されているのです。
効果的な生姜の摂り方


温め効果を求めるなら加熱する
生の生姜に含まれる「ジンゲロール」は加熱すると「ショウガオール」に変化します。ショウガオールの方が体の深部を温める効果が強いです。冷え性改善なら加熱した生姜が断然おすすめです。
1日の適量は10〜15g
薄切り3〜4枚、すりおろしなら小さじ2杯くらいが目安です。摂りすぎると胃を刺激することがあるため、適量を守りましょう。
おすすめの摂り方
生姜湯:すりおろし生姜小さじ1にお湯とはちみつを加えます。最もシンプルな温活ドリンクです。
生姜紅茶:紅茶にすりおろし生姜を加えます。カフェイン効果で朝の目覚めにも向いています。
蒸し生姜:薄切り生姜をオーブンで80度30分乾燥させます。ショウガオールが増えて温め効果がアップします。
料理に:味噌汁、炒め物、煮物に刻み生姜を加えるだけで十分です。
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注意すべき体質と副作用


熱がある時は控える
発熱時や炎症がある時に温性の生姜を摂ると症状が悪化することがあります。風邪でも「ひき始めの寒気がある段階」は問題ありませんが、「高熱でのどが痛い段階」は避けてください。
陰虚体質の人は摂りすぎ注意
体の潤いが不足して、のぼせ・ほてり・寝汗が出やすい方(陰虚体質)は、生姜の温め効果が強すぎることがあります。少量なら問題ありませんが、大量摂取は避けましょう。
胃が荒れやすい人は空腹時を避ける
生姜の辛味成分は胃粘膜を刺激します。胃が弱い方は空腹時に大量の生姜を摂ると胃痛や胸焼けが起きることがあります。食事と一緒に摂るのがよいでしょう。
・妊娠中(少量は問題ないが大量摂取は避ける)
・血液をサラサラにする薬を飲んでいる人(生姜にも抗凝血作用がある)
・手術を控えている人(出血リスク)
・痔や口内炎がある人(炎症を悪化させる可能性)
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生姜を使った漢方薬の代表例
・葛根湯:風邪のひき始め・肩こりに
・小青竜湯:鼻水・花粉症に
・半夏瀉心湯:胃腸炎・下痢に
・人参湯:冷えによる胃痛・下痢に
・大建中湯:お腹の冷え・腸の動き改善に
よくある質問
Q. チューブ入りの生姜でも効果はある?
ないよりはよいですが、生の生姜と比べると有効成分が少ないです。厚生労働省の食品表示基準でも添加物が含まれることがあるため、できれば生の生姜を使いましょう。
Q. 生姜パウダーと生の生姜、どっちが効く?
用途によります。温め効果なら乾燥した生姜パウダー(ショウガオールが多い)、発汗効果なら生の生姜(ジンゲロールが多い)が効果的です。
Q. 子どもに生姜を食べさせてもいい?
少量なら問題ありませんが、辛味が強いため食べやすく工夫してください。生姜はちみつ(1歳以上)や、料理に少量加える程度がちょうどよいでしょう。
Q. 生姜を毎日食べると体に悪い影響はある?
適量(1日10g程度)なら毎日食べても問題ありません。ただし胃が弱い方は空腹時に大量に摂ると胃を刺激することがあります。のぼせやすい方や暑がりの方は摂りすぎに注意してください。
Q. 生姜紅茶を毎日飲んでも大丈夫?
大丈夫です。生姜紅茶は温め効果とカフェインの覚醒効果で朝にぴったりです。ただしカフェインが気になる方は、昼以降はノンカフェインの生姜湯に切り替えるのがおすすめです。
Q. 生姜と漢方薬を一緒に摂っても問題ない?
基本的には問題ありません。実際、漢方薬の多くに生姜(生薬名:生姜・乾姜)が含まれています。ただし体を温める漢方薬と大量の生姜を同時に摂ると温めすぎになる場合もあるため、のぼせを感じたら量を調整しましょう。


よくある失敗パターン
失敗1:生の生姜と加熱した生姜の効果の違いを知らない
「生姜は体を温める」と思い込んで、冷え性対策に生のすりおろし生姜をたくさん摂る方がいます。しかし実は生の生姜に多い「ジンゲロール」は体の表面を温めて発汗を促す作用がメインです。体の芯を温めたいなら、加熱してショウガオールを増やした生姜の方が効果的です。蒸し生姜や乾燥生姜パウダーが冷え性対策には向いています。目的に合わせて生・加熱を使い分けるのが上手な生姜活用法です。
失敗2:体質に関係なく大量摂取する
生姜が体に良いからと毎食たっぷり使う方がいますが、陰虚体質(のぼせ・ほてり・口の渇き)の方が大量に摂ると症状が悪化する可能性があります。また空腹時に大量の生姜を摂ると胃の粘膜を刺激して胃痛の原因になります。1日10〜15gという適量を守ることが大切です。
失敗3:チューブ入り生姜で満足してしまう
手軽さではチューブ入り生姜は便利ですが、有効成分のジンゲロールやショウガオールの含有量は生の生姜に比べてかなり少ないです。添加物も含まれることがあります。本格的な薬効を求めるなら、面倒でも生の生姜を使った方がより効果的です。すりおろして冷凍しておけば使い勝手も良くなります。


生姜に関するQ&A(追加)
Q. 蒸し生姜パウダーの作り方を詳しく教えてください。
生姜を薄切り(1mm程度)にして、オーブン80度で約1時間加熱して乾燥させます。カリカリに乾いたらフードプロセッサーかすり鉢で粉末にします。密閉容器に入れて冷暗所で1〜2ヶ月保存可能です。電子レンジ(600Wで10分×数回)でも作れます。
Q. 生姜は冷凍保存できる?
できます。丸ごと冷凍すれば1ヶ月以上保存可能です。凍ったままおろし金ですりおろせるため、実は冷凍の方が使いやすいという声もあります。薄切りやみじん切りにして冷凍しておくと料理にパッと使えて便利です。生姜の有効成分は冷凍してもほとんど損なわれません。
Q. 新生姜と根生姜、薬効は違う?
根生姜の方が辛味成分が多く薬効は強いです。新生姜は辛味が穏やかで食べやすいですが、温め効果は根生姜に劣ります。冷え性改善なら根生姜、食欲増進や料理の風味付けなら新生姜と使い分けるのがおすすめです。
Q. 生姜アレルギーはある?
まれですがあります。生姜に含まれる成分にアレルギー反応を示す方がいて、口の中のかゆみ、発疹、消化器症状などが出ることがあります。初めて大量に摂る場合は少量から始めて、異常を感じたら使用をやめて医療機関を受診しましょう。
Q. 生姜と薬膳の他の食材で相性の良い組み合わせは?
生姜+なつめ(補血+温め)、生姜+シナモン(温め効果倍増)、生姜+黒糖(冷え性対策の定番)、生姜+ネギ(風邪の初期対策)が鉄板の組み合わせです。逆に、カニなど寒性の食材と合わせると生姜が寒性を中和してくれるため、お刺身にガリ(甘酢漬け生姜)がつくのは薬膳的にも理にかなっているのです。


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